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『ソルト』(映画)

何が本当なのかなかなか分からないスパイアクション映画。
ユーモアも希望もほとんどありませんが、全体としてちょっとだけ救われたような気分になります。

主人公イヴリン=ソルトは、2日間ほどの出来事の間にものすごい量の作戦行動をこなします。
しかし、彼女の行動原理すら最終盤まで分かりません。
二重スパイとして本当はどちらに味方しているのか、それとも夫を救おうとしているのか・・・。
その謎解きを楽しみながら観る映画のようですから、これ以上は具体的な筋を説明しない方が良いでしょう。

ほぼ唯一のユーモアがある場面は、ソルトが飼い犬を救って近所の少女に託すところです。
これを除けば、関わりあう人々のほぼ全てが敵として振る舞います。
本来の味方は彼女を誤解して攻撃し、味方のふりをしている者は敵なのです。
作品の最後に至っても、一つの危機が去ったに過ぎず、彼女はほぼ孤独なままです。
こんな状況でも観終わった後に何か救われたような気分になる条件の一つは、彼女が一貫して強い意志をもって行動していることでしょう。
ひたむきで孤独な勇者に、観客が感情移入するのです。

同じ類型の映画と言えば、私が観た小さな範囲の中では『ボーン』シリーズしか思い当たりません。
展開だけで言えば、この作品は『ボーン』よりもさらに先に進んだかもしれません。
ユーモア欠如と孤独がここまで進んだ映画を観て最後に思うのは、だからこそわずかなユーモアが絶大な効果を発揮している、ということです。
物語にとって、ユーモアも救いの条件の一つなのです。

なお、先日観た『チェンジリング』も併せて、アンジェリーナ=ジョリーという俳優の印象も良い方向に変わりました。
つくられた人気俳優、という先入観は、誤っていたようです。
2011-11-12 23:01  nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0)  共通テーマ: [映画・テレビ]

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