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『小説の読み方の教科書』(岩崎夏海)

『もしドラ』作者が書いた小説入門。
「正しい読み方」を初心者向けに教えてあげよう、という姿勢で書かれています。
その姿勢に少々の反発をおぼえながら読み進めてみると、案外に普通の事が書いてありました。

前半部分を、箇条書きでまとめてみます。
・小説とは、「トータルな体験を約束する場」を提供してくれるものである。
・「言葉」という手段が、書かれていないことを読者が「想像」する余地を残してくれている。
・「物語」という役割に、他のジャンル以上に先鋭的につながっている。
・小説の歴史をさかのぼると、『ドン・キホーテ』(1615)にたどり着く。
・『ハックルベリー・フィンの冒険』(1885)は、米国小説の『ドン・キホーテ』である。

後半では、『ハック』を題材にして、「正しい読み方」が解説されます。
・登場人物や物語の二面性やあいまいさもそのまま受けとらなければならない。
・作品の中に「問い」を見つけだし、自分で「答え」を考え続けなければならない。

もともと主体的に小説(文学)を読み続けている人にとっては、特に目新しいことは書いてありませんが、著者が想定しているような“読書の初心者”が興味を持って本書を手に取ることがあるとすれば、良い教科書になりそうです。
「あとがき」などによれば、どうやら小学校6年生向けの授業企画が元になっているようです。
そういう状況であれば、唯一の「正しい読み方」、という極端な主張も、方便として受け入れられます。


小説の読み方の教科書

小説の読み方の教科書

  • 作者: 岩崎夏海
  • 出版社/メーカー: 潮出版社
  • 発売日: 2011/10/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



2012-02-18 02:28  nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(1)  [最近読んだ本]

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