『子どもと話す 文学ってなに?』(蜷川泰司)
小説仕立ての文学論入門。
男性作家と年齢不詳の少年との対話の形で、様々な視点からの文学論が展開されます。
ただし、文字通りに「子どもと話す」には、色々な意味で難しい内容です。
2部構成の前半は「ノンカテゴリアル」。
「あとがき」によれば、先人の残した考え方の枠組みに拠らずに読者のヒントになるような問題提起を目指した、とのこと。
そうは言っても、採り上げた3つの「対象」のせいか、おおむね実存主義の言説になっています。
戦争とか、ナンバリングとか、他者からの認知とか・・・。
1)『石の声』:1996年に沖縄で企画された沖縄戦犠牲者慰霊の制作活動。
2)「アウシュヴィッツ以後、詩を書くことは野蛮である」(アドルノ)
3)『変身』(カフカ)
後半の「カテゴリアル」は、それほどよく出来ていません。
類型としては『ソフィーの世界』と同じ。
『ソフィー』では、色々な哲学者の考えが並べられるだけでした。
ソフィーは、どれもこれも面白い、というだけで、実は“問い”も“答え”もしていません。
本書の後半でも、視点が全く異なる話題が次々に現れては消えて行きます。
「あとがき」では、最も本質的な問いの「文学とは何か」はあえて読者のために残した、といった書きぶりになっていますが、逃げのようにも見えます。
それとも、作者の考えは前半を見よ、ということなのでしょうか。
なお、知識を整理する上で参考になったのは、小説の豊かな側面を評価したバフチンと、情報化の流れの中での物語の衰退を指摘したベンヤミンとを、対照させている部分です。
男性作家と年齢不詳の少年との対話の形で、様々な視点からの文学論が展開されます。
ただし、文字通りに「子どもと話す」には、色々な意味で難しい内容です。
2部構成の前半は「ノンカテゴリアル」。
「あとがき」によれば、先人の残した考え方の枠組みに拠らずに読者のヒントになるような問題提起を目指した、とのこと。
そうは言っても、採り上げた3つの「対象」のせいか、おおむね実存主義の言説になっています。
戦争とか、ナンバリングとか、他者からの認知とか・・・。
1)『石の声』:1996年に沖縄で企画された沖縄戦犠牲者慰霊の制作活動。
2)「アウシュヴィッツ以後、詩を書くことは野蛮である」(アドルノ)
3)『変身』(カフカ)
後半の「カテゴリアル」は、それほどよく出来ていません。
類型としては『ソフィーの世界』と同じ。
『ソフィー』では、色々な哲学者の考えが並べられるだけでした。
ソフィーは、どれもこれも面白い、というだけで、実は“問い”も“答え”もしていません。
本書の後半でも、視点が全く異なる話題が次々に現れては消えて行きます。
「あとがき」では、最も本質的な問いの「文学とは何か」はあえて読者のために残した、といった書きぶりになっていますが、逃げのようにも見えます。
それとも、作者の考えは前半を見よ、ということなのでしょうか。
なお、知識を整理する上で参考になったのは、小説の豊かな側面を評価したバフチンと、情報化の流れの中での物語の衰退を指摘したベンヤミンとを、対照させている部分です。
2012-03-06 21:58
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とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。
by 敬語のマナー (2012-05-11 18:28)