『哲学者は何を考えているのか』(インタビュー集)
現代の哲学的討論の当事者たちへのインタビュー集。
よく準備された事しか書かれない著書とは違って、インタビューなら、本人の考え方のクセのようなものが露わになる、という意図の下で編集されています。
「哲学者」の中には、ドーキンスのような科学者も含まれます。
むしろ、遺伝子研究に基づく決定論・機械論と、伝統的な自由意志論との討論が、中心的な話題の一つになっています。
ドーキンスを糾弾するメアリ=ミッジリーという人へのインタビューも掲載されていますが、本書で見る限り、生物学者の主張を誤解しているだけのようです。
道徳哲学者ジョン=ハリスは、行政に関わる哲学者の役割の一つを「論点の整理」と述べ、倫理政策委員会のような場で有効な議論が為されていることを主張していますが、皮肉にも、哲学者の集まりが必ずしも論理的・整合的ではないことが他のインタビューからは明らかになっています。
それを一般社会にも示したのがアラン=ソーカルです。
ポストモダンの用語を駆使した出鱈目な論文を哲学専門誌に投稿したところ採用されてしまった、というのですが、本人の興味は既に他に移っているようです。
難解な用語で知られる言語哲学者や、神の存在証明を企画する宗教哲学者に対しても、どちらかと言うと皮肉を言いたそうな編集になっています。
どうやら、編集者は「科学者」にこそ親近感を抱いているようです。
当初期待していた“哲学の最前線”はほとんど見えず、一部の「哲学者」の欠点ばかりが目に付きました。
本書を読んだ後、記事を書きにくく感じて放置している間に、10日余りが経ってしまいました。
読む方はそれなりに進んでいるので、順次、記事にしていきます。
哲学者は何を考えているのか (現代哲学への招待Basics)
- 作者:
- 出版社/メーカー: 春秋社
- 発売日: 2006/05
- メディア: 単行本
私も最近「哲学者は何を考えているのか」というこの本を本屋さんで拾い読みしました。
一言で言えば、「下手な」考え休むに似たり」を地で行くような話。
哲学は、例えば「インターネットの愉しみ方」と説く本と同じように、この世界の成り立ちと仕組みを造っている原理を明らかにして、これに基づいたヒトの生き方の原理とこの実際を説くはずのものです。
しかし、これが出来ていない訳です。
http://blog.goo.ne.jp/i-will-get-you/
いわゆる神の存在証明がもたらす意味について
創造主である神の存在証明をして、神が造ったこの世界の成り立ちと仕組みについて説明し、人類史のリセットと再構築を試みる。
一般法則論者
by 一般法則論者 (2007-09-29 23:53)
一般法則論者さん コメントありがとうございます。
ブログを拝見しましたが、興味深い議論のタネがたくさん書かれているようですね。時々読ませていただきます。
by plant (2007-09-30 04:27)